着セカエは復元ドレスから

着セカエ女子会の原点(1)


‘着セカエ・・・’の出発点となったのは、ロココドレス(下の写真)です。

写真をご覧になった方から「そもそもあのドレスは何?古いもの?」
という素朴な疑問がありましたので、そこをヒントに話を展開します。

(Vista Vuest 7024J)
これは、昨年私が復元製作した作品です。
表面的な形の模倣ではなくロココ時代の
ドレスのしくみそのものを知りたかったのです。

実はここがポイントです。
ドレスを完全に復元・・・となると、おそらく素材は絹ですから、
費用の面で相当なムリがかかります。

加えて当時はコルセットを使用していました。
完全復元を目指すと、このコルセットでつまずきます。
同じものを入手しない限り、完全に復元はできないからです。
また、たとえコルセットを入手できたとしても、
体型を選びますからハードルが高いのです。

ドレスの仕組みそのものを知りたいという原点に立ち返り、
・コルセットの入手を考えない
→替りに工業用ボディのサイズに合わせる。

・素材は木綿を選択
→そう、このドレスはデニムで作りました。

完成したドレスを実際に着用することは最初から考えていました。
多くの女性が、着てみたくなる素材。
安っぽくならず、気軽に着てみたくなる素材。
だれにでも似合う素材。
その答えがデニムだったのです。

昨年、大同ギャラリーの合同展示会で出展し、
中学生からお孫さんのいらっしゃる年代の方まで
実に幅広い年齢層の方に着用していただき
喜んでいただいたことが、
着セカエ女子会の出発点になりました。

居間にこの‘ジョルジュ=バルビエ’の絵を飾るほどのロココ好き。
モーツァルトやマリーアントワネットのような装飾過剰なスタイル。
ゴスロリのゴシックとは時代がちょっと違います。


 左は学生時代に買った雑誌「Hi Fashion」の付録。
雑誌はもう手元にありませんがこの付録は大切に持っています。
右はその付録の中の写真。
こんなドレスを作ってみたかった学生時代。
‘縫ってみたい’というより、‘仕組みを知りたい’と思っていました。
今と同じです。


1755年前後のデザインです。(このイラストは現代のデザイナー
もしくはイラストレーターが現存するドレスを見て描いたもの)
当時はドレスの形のバリエーションはほとんどありません。
素材と装飾で個性を競いました。

当時の定番のこの形を再現です。


そもそもあんなにスカートがふくらんでいるのはナゼなのか。
スカートの下に「パニエ」を着用していたからです。
現代に続く、パニエ。
ウエディングドレスの下に着用するパニエにも
数百年の歴史があるのです。

ただし、この写真のパニエは籐(かごの素材!)入り。
着づらいし動きづらいでしょう・・・
その分、動きが女性らしかったと想像できますね。

(つづく)
   
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着セカエ女子会の原点(2)

私が服の構造・仕組みを知りたいと思うのは、単純に洋服のルーツが西洋(=ヨーロッパ)にあるからです。

着物をはじめとするアジアの民族衣装は、空気をまとうかのように衣服と身体の間に空間が生まれますが、洋服は身体に沿って構築的です。

立体的な骨格を持つ西洋人の美意識・感覚から生み出された洋服を
私たち東洋人が‘作る’とき、彼らの視点・発想を知ることが欠かせないと考えたからです。


(デジハリCHINON)
外側のドレスを作る前にパニエを作ります。
ナイロンチュールを使用(内側のピンクは白が在庫切れだったため)
前後に厚みは不要で両サイドを厚く。
製作した当初よりずいぶんチュールがくたびれてます(´・_・`)

(本来はコルセットを着用しますが、前述のように今回はナシ)

(デジハリCHINON)
その上に、ペチコート(スカート)

(デジハリCHINON)
最後にドレス(ローブ)
上半身にベストみたいなボタンがついた部分がありますが、
コンペールと言います。
もっと着装が面倒だった時代に考案された、
このボタン留めの方法は画期的だったそうです。


このドレスはイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館に
収蔵されている作品の本を元に製作しました。
とは言え、単位がセンチではなくインチだし、記述は英語。

このドレスの持ち主は結構ボリュームのある方だったようで
現在のサイズにすると13号くらいでしょうか。
それを日本の工業用ボディに合わせて調整しました。

パターン自体は特別に難しくはないのですが、
立体的に作られたものなので、この手のドレスを作るには
やはり立体裁断が必要になります。

人体の構造を知り、空間を見る力。

西洋でこのドレスを着ていた時代、日本は江戸中期。
日本人が着物を着ていた時代に
西洋では現代の洋服の構造につながる衣服を着ていました。

簡単に埋められる差ではありませんが
人体の構造を理解した上で
日本人の感性で独自の服を作り出していくことは可能ですし
それをしなければなりません。

コム・デ・ギャルソンやヨージ・ヤマモトに代表される
西洋の価値観にはない、圧倒的な美しい服飾の表現を
私は誇りに思います。

私は彼らのように新しい価値観を生み出す才能はありませんが
価値あるものを認める感性は決して失いたくないですし、
ずっと磨いていきたいと思っています。

その作業の一つが、復元ドレスだったのだと今気づきました。

「温故知新」
(デジハリCHINON)
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